「ワークライフバランス」と「ライフワークバランス」。似ているけれど、実はまったく違う考え方。どっちが正しいの？どっちを使えばいいの？この記事では、そんなモヤモヤをやさしく解決します。今こそ、自分にぴったりの“バランス”を見つけるときです！
「ワーク」と「ライフ」どっちが先？「ワークライフバランス」とは何か？
「ワークライフバランス」とは、「仕事（ワーク）」と「私生活（ライフ）」のバランスを取ることを意味する言葉です。もともとは英語圏で使われていた表現で、特に2000年代以降、日本でも企業や行政が積極的に使い始めました。
例えば、「仕事が忙しすぎて家族と過ごす時間がない」「自分の趣味の時間が取れない」といった生活は、ワークライフバランスが崩れている状態です。つまり、**「働きすぎず、しっかり休んで人生を楽しむ」**という考え方がこの言葉に込められています。
政府や厚生労働省も「ワークライフバランス」を重視しており、仕事と生活の調和をとることが、社員の幸福度や企業の生産性にもつながるとされています。
ポイントは、「仕事をすること」と「生活をすること」のバランスをうまくとって、どちらも大事にしようという発想です。
ただし、近年ではこの「ワークライフバランス」という言葉に対して、「仕事と生活を分けすぎでは？」という意見や、「仕事が生活よりも先に来るのは違和感がある」といった批判も見られるようになっています。
このような流れから、次に紹介する「ライフワークバランス」という新しい言葉が登場してきました。
「ライフワークバランス」とは何か？
「ライフワークバランス」とは、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、最近じわじわと注目されてきている新しい働き方の考え方です。
この言葉は、順番が逆になっています。「ライフ＝人生」「ワーク＝仕事」と考えると、「人生が先で、仕事がその中にあるもの」といったニュアンスが込められています。
つまり、「仕事は人生の一部であって、人生が主役」という考え方なんですね。ライフを軸にして、その上でどうワークを組み立てるか、という順序です。
たとえば、自分の夢や価値観、大切にしたいこと（家族、趣味、健康など）をベースにして、それに合った働き方を選ぶというスタイルです。フリーランスやリモートワーカー、パラレルキャリアなど、柔軟な働き方をする人たちの間で、この「ライフワークバランス」という言葉が使われるようになってきました。
東京都など一部自治体でも「ライフワークバランス推進プロジェクト」などを立ち上げており、行政的にもこの考え方を後押しする流れが出てきています。
まだ一般的には「ワークライフバランス」の方が主流ですが、これからの時代、「どう生きたいか」に合わせた働き方という意味で、「ライフワークバランス」はますます広がっていく可能性があります。
「ワークライフバランス」と「ライフワークバランス」の2つの言葉の意味と使い分け
この2つの言葉、いったい何がどう違うのかをまとめてみましょう。
| 用語 | 意味 | 主体 | バランスのイメージ |
| ワークライフバランス | 仕事と生活を両立させること | 仕事が中心 | 仕事と生活を「分ける」発想 |
| ライフワークバランス | 人生の中に仕事があるという考え方 | 人生が中心 | 仕事を人生に「組み込む」発想 |
「ワークライフバランス」は企業や政府がよく使う言葉です。一方、「ライフワークバランス」は個人の価値観を重視した表現で、自分らしい働き方や生き方を求める人に向いています。
つまり、**「どちらが正しい」というよりも、「どちらが自分に合っているか」**が大切です。
たとえば、会社でしっかり働きつつプライベートも楽しみたいなら「ワークライフバランス」が向いています。反対に、自分の生き方に合わせた仕事を作っていきたいなら「ライフワークバランス」の考え方がフィットするかもしれません。
どちらの言葉を使うかで、自分の働き方や人生の優先順位が見えてくるのも面白いポイントですね。
「ワークライフバランス古い」「ワークライフバランスおかしい」と言われる背景
近年、「ワークライフバランスはもう古い」「この言葉自体がちょっとおかしい」と感じる人が増えてきました。どうしてそんな意見が出てきているのでしょうか？
その理由のひとつは、「ワークライフバランス」が仕事と生活をきっちり分ける前提になっていることです。つまり、「日中は仕事」「夜は私生活」といった時間的な区切りで考える人が多く、それが逆にストレスになってしまうケースもあります。
また、在宅勤務やフレックス制度など、働き方の多様化が進んだ現代では、仕事と生活の境界があいまいになることもあります。その中で、「生活と仕事を切り離すことは現実的でない」という声が出てきているのです。
さらに、「ワークライフバランス」という言葉には、「会社が社員の私生活を管理する」ようなイメージを持つ人もいます。その結果、「ちょっと違和感がある」「もっと自由な言葉がいい」という声が高まっているわけです。
こうした背景から、より柔軟で個人の価値観に寄り添った「ライフワークバランス」の方が共感されやすくなってきているのです。
国のワークライフバランス施策
日本政府は2007年、「仕事と生活の調和推進」プロジェクトを立ち上げ、「ワークライフバランス憲章」を策定しました。この動きは、少子高齢化・労働力不足など社会的課題を背景に、働き方を見直す必要があるという認識から始まりました。
国や自治体が推進する代表的な施策には以下のようなものがあります：
- 残業削減や労働時間の適正化
- 育児・介護休暇の取得推進
- フレックスタイム制度の導入支援
- テレワーク環境の整備
- 女性のキャリア支援や男性の育休取得促進
特に東京都では「ライフワークバランス認定企業制度」を設け、柔軟な働き方を積極的に導入している企業を評価しています。
ただし、これらの施策が企業の現場でどこまで実現できているかは、まだ課題も多く残されています。制度だけでなく、企業文化やマネジメントの意識改革も必要とされています。
今後は「ライフワークバランス」のように、一人ひとりが自分らしい働き方を選べる社会づくりが、国や自治体の新たな課題になっていくでしょう。
ワークライフバランスと働き方改革との違いとこれからの考え方
「ワークライフバランス」と「働き方改革」、似たような言葉ですが少し意味が異なります。
- ワークライフバランスは、個人の生活と仕事のバランスをとる考え方です。
- 働き方改革は、社会全体の労働環境を見直し、効率的で多様な働き方を実現する政策的な動きです。
つまり、「ワークライフバランス」は個人の視点、「働き方改革」は社会・組織全体の視点と言えるでしょう。
しかし、これからの時代に必要なのは、「どちらか」ではなく、「どちらも」です。
個人が自分らしいバランスを見つけるためには、社会や企業の制度が柔軟でなければなりません。逆に、企業がいくら制度を整えても、個人が「どう働きたいか」を考えなければ意味がありません。
「働き方改革 × ワークライフバランス × ライフワークバランス」
この3つがうまく組み合わさることで、未来の働き方はもっと豊かで自由なものになるはずです。
まとめ：あなたに合ったワークライフバランスの見つけ方
「ワークライフバランス」と「ライフワークバランス」は、ただの言葉の違いではありません。それぞれに込められた考え方や価値観が大きく異なります。
- 仕事と生活を分けたい人には「ワークライフバランス」
- 人生の中に仕事を組み込みたい人には「ライフワークバランス」
どちらが正解かではなく、自分に合ったバランスを見つけることが一番大切です。
これからの時代、私たちはもっと自由に「働き方」を選べるようになっていきます。だからこそ、「自分はどう働きたいのか？」「どんな生活を大切にしたいのか？」を、じっくり考えてみることが大切です。その答えは、他の誰かが決めるものではなく、あなた自身の中にあるのです。
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